癌との共存を目指しています。
今日は、化学療法2日目(8クール目)。
2日目にブログを書く、もっと言うと、PCを立ち上げるのは、今回が初めてだと思う。
だるさが以前より少なくなっているのと、頭が少し働く感じ。胃のムカムカは少しはあるかな。あと、昨夜寝ている間に、少量ですが、便を漏らしてしまいました。(食前、食中、食後の方、すみません。)

用量を5-FUは25% off、オキサリプラチンはそのままであるので、5-FUとオキサリプラチンが同効であると考えると、12.5%、薬を減らしたことになる。害作用という点では、それなりの軽減が現時点では得られていると思う。前回は、ケモ中、オリンピックさえ、テレビで見ることが出来なかったのだから。

これで、がん細胞に対する効果ががたっと落ちているのであれば、少し残念だが、今のところ、今回の減量については、そこそこ満足している。

早く低用量での抗癌剤の効果について、まとめられた論文が出ないものだろうか。



以下は、読んでいると肩が凝る文章だと思うので、精神科のことに関心のある方、うつ病治療に関心のある方に読んで頂ければ、幸いです。

以前のエントリーでも触れたように、精神科領域においては、抗精神病薬(統合失調症、せん妄に対して用いる)、抗うつ薬(うつ病、パニック障害などで用いる)について、従来、使われていた用量より少ない用量で用いると、害作用が少なかった、だとか、効果は変わらなかった、だとかという結果が出ている。
どうも、多い目の用量で使って「うん、この薬、効くな。」というところから始まって、「でも、飲み続けることが出来ない人が結構、いるな。」となって、「低用量でも行けるんじゃないの。」となり、「じゃあ、トライアル(臨床試験)を。」という経過を辿っているように思う。(少なくとも精神科領域では。)

腫瘍科(あえてこう書く)と精神科では、対象としている疾患が違うし、薬のコンセプトも違う(抗癌剤は正常細胞をやっつけてしまうことをある程度、前提としているようだ)。
精神科では、うつ病に対して、三環系抗うつ薬を用いる場合、従来、150mg/日の投与を標準としていたように思う。最大で225mg/日(種類によっては250~300mg/日)を用いていた。しかし、2002年にメタアナリシス(きちんとした、たくさんの臨床試験を集めて来て、特定の統計学的手法で解析したもの。治療についての最強のエビデンスである。)では、101mg/日以上の投与と100mg/日以下の投与を比べた場合、効果は不変、害作用は100mg/日以下の方が101mg/日以上のケースに比べると、半分になったとしている。厳密には、101mg/日以上の投与では、11人に1人、害作用が強くて薬を飲み続けることが出来なくなるが、100mg/日以下の投与では、22人に1人、害作用が強くて薬を飲み続けることが出来なくなったという。
一方、効果については、101mg/日以上のケースでも100mg以下のケースでも、4~6人に1人の確率で、うつ症状の改善を見るという。なお、うつ病はプラセボ(偽薬)で症状が改善するケースが多く、4割くらいの人がプラセボで良くなるという。
これをまとめると、初診でうつ病の患者さんを診て、うつ病と診断し、三環系抗うつ薬の投与を開始したとしたら、6割は症状の改善を認め(4割は、薬が効いているのではなく、薬を処方されたという効果、お医者さんに診てもらい、きちんとした診断を受け、きちんとした説明を受けたという効果、仕事を休んだり、仕事の量を減らしてもらったり、といった休養の効果で良くなる。2割が三環形抗うつ薬の効果で良くなる。)そして4割の方が一種類目の薬では効果の得られない人、もしくは害作用が強くて薬を飲み続けることが出来ず、効果が得られなかった人ということになる。

ついつい、自分の専門分野での知見を、自分が現在、治療を受けている薬、領域に当てはめてしまう。

うつ病に対する抗うつ薬治療においては、標準とされていた(今もされていると思う)150mg/日の用量から、上記のメタアナリシスの薦める75~100mg/日の用量(もとの50~67%)の用量に減らしたところ、効果は変わらず、薬を続けられなくなるくらいの害作用を呈する患者さんは9%から4.5%に減る、という。
上記の図式に僕の状況を当てはめると、もともとの投与量すなわち標準投与量を100とすると、4~7回目は(オキサリプラチンは25%減量、5-FUは総量で4750→4000mg)80、今回は(オキサリプラチンは25%減量のまま、5-FUは総量4000→3000mg)69である。(標準投与量を100とした時に、オキサリ、5-FUがその時、どれくらい体の中に入っているのか、をそれぞれ計算し、その結果の平均を取った。)
薬を続けられなくなるくらいの害作用(三環形抗うつ薬では標準的な投与量で9%の患者さんにあったという)が出ている状態から、何とか薬を続けられるくらいのところにうまくシフトしたいと願っている次第である。

この内容の文章が書けるということは、結構、行けそうかな、とも考えている。

【2008/08/22 12:29】 | 自分の体
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首謀者を探す
カノン
片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、この5日間を
がんばっていらっしゃるご様子は、金メダル級の感動です。
このまま、比較的穏やかな時間が流れて、5日経ってくれることを
願っています。

三環系抗うつ薬の副作用は、確かにSSRIなどと比べると、強いらし
いですね。
貝谷久宣先生の「SSRI/SNRIにおける不安障害のエビデンス」を
読んだのですが、次のように書いてありました。

15名の社会不安障害者が、イミプラミンで8週間治験を受けた。
6名(40%)は副作用で早期に脱落した。治療終了者9名中2名
(22%)が高度および中等度改善を示したにすぎず、イミプラミン
は社会不安障害に効果がないと判定された。

副作用は強いわ、効かないわ、踏んだり蹴ったりです。

精神科医さんに、また教えていただいてよろしいでしょうか。
もちろん、しんどい真っ最中でいらっしゃることは存じておりますの
で、完全復調なさったあと、気が向かれたときにということで・・・。

貝谷先生は、「不安障害は難治性うつ病の萌芽」と述べています。
社会不安障害に併発する気分障害の生涯有病率は56.3%で
あり、内訳をみると大うつ病34.1%、双極性障害19.5%、そして
気分変調性障害は11.5%だとか。
以前、社会不安障害と妄想性障害の見極めが難しいと書いておら
れました。SADの場合、併発するうつやパニック発作や妄想と
いった症状で、初めて受診にいたることになると思うのですが、
診療の際、例えばうつ病の陰に隠れたSADは、どのように見つけ
られるのでしょうか。

本当に、TPOをわきまえない質問で、申し訳ありません。
「アホな毎日新聞」を毎日読んでいるので、洗脳されて、立派な
アホになったかも(笑)。

あと3日間、どうぞ無理なさらないでお過ごしください。


前半部に対する返事
のっぽ187
カノンさん

>片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、この5日間を
がんばっていらっしゃるご様子は、金メダル級の感動です。
このまま、比較的穏やかな時間が流れて、5日経ってくれることを
願っています。

いつもいつも有難うございます。片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、生き抜きたいと思います。

社会不安障害には、三環系抗うつ薬が効くというエビデンスはないようですね。きちんと論文を探せば、効くという論文はあるのかもしれませんが、僕はデイビッド・V. シーハンらが書いた「社会不安障害」くらいしか、きちんと読んでいないので、社会不安障害には三環系抗うつ薬が効くというエビデンスはないという理解です。

一方、うつ病、気分変調症、パニック障害には、SSRIも三環系抗うつ薬も効くというエビデンスがあります。うつ病についての三環系抗うつ薬のエビデンスはエントリーの通りです。
一つ断っておきたいのは(一応、これでも専門家なので)、うつ病治療においては、三環形抗うつ薬と比べて、SSRIの方が脱落が少なかったとは言えない、副作用が少なかったとは言えない、副作用の種類が違うだけである結論を出しているメタアナリシスがあるということです。
和文で結論だけを読むのであれば、エビデンス精神医療(古川壽亮著、医学書院)のp380~381を読まれるといいと思います。精神科医にとっては非常に素晴らしい本だと思うのですが、それ以外の方はどこかで借りるか立ち読みで済ます、でOKかと思います。

前半部に対する返事は、これくらいでいいかな、と思います。

後半部に対する返事
のっぽ187
カノンさん

初診の場合は、「何に困って、今日は、いらっしゃったのですか。」というところがポイントになると思います。
気分が落ち込む、つらい、眠れない、食欲がない、疲れやすい、こんなに辛いんだった死んでしまった方がましだと思う、などいろいろあると思うのですが(全てうつ病の症状ですね)、うつ病の症状を訴えていらした方については、まずはうつ病の診断を優先する、これでいいと思います。
うつ病を診断するに当たって、一つ気をつけておきたいのが、「以前に躁状態もしくは軽躁状態になったことがあるか。」です。
うつ病と躁うつ病(双極性障害)は同じ気分障害に分類されますが、治療方針(使う薬)が違います。だから、うつ病を診断するにあたって、気を付けるべきことは「躁うつ病の患者さんがうつ状態になって来ている。」のを除外することです。
本当は、うつ病の陰に隠れた社会不安障害も初診時にきちんと診断できたらいいのですが、時間に制約があることから、うつ病の診断のついた方に併存する不安障害(社会不安障害とか)について積極的に問診することはあまりないです。
自分から「人前で話したり、知らない人と会ったりするのがすごく苦痛で。」と話されるのであれば、社会不安障害についての問診もしますが。
現場レベルでは、うつ病と社会不安障害を併発している患者さんがいたとすると、うつ病の程度が中等症以上だと認知行動療法どころじゃないでしょうから、まず、うつ病を良くして、それから・・・で十分かなと思っています。

毎日新聞は、どうも医療関係の記事の中に偏った記載を時々見かけるので、つい「アホ!」と言ってしまいました。

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首謀者を探す
片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、この5日間を
がんばっていらっしゃるご様子は、金メダル級の感動です。
このまま、比較的穏やかな時間が流れて、5日経ってくれることを
願っています。

三環系抗うつ薬の副作用は、確かにSSRIなどと比べると、強いらし
いですね。
貝谷久宣先生の「SSRI/SNRIにおける不安障害のエビデンス」を
読んだのですが、次のように書いてありました。

15名の社会不安障害者が、イミプラミンで8週間治験を受けた。
6名(40%)は副作用で早期に脱落した。治療終了者9名中2名
(22%)が高度および中等度改善を示したにすぎず、イミプラミン
は社会不安障害に効果がないと判定された。

副作用は強いわ、効かないわ、踏んだり蹴ったりです。

精神科医さんに、また教えていただいてよろしいでしょうか。
もちろん、しんどい真っ最中でいらっしゃることは存じておりますの
で、完全復調なさったあと、気が向かれたときにということで・・・。

貝谷先生は、「不安障害は難治性うつ病の萌芽」と述べています。
社会不安障害に併発する気分障害の生涯有病率は56.3%で
あり、内訳をみると大うつ病34.1%、双極性障害19.5%、そして
気分変調性障害は11.5%だとか。
以前、社会不安障害と妄想性障害の見極めが難しいと書いておら
れました。SADの場合、併発するうつやパニック発作や妄想と
いった症状で、初めて受診にいたることになると思うのですが、
診療の際、例えばうつ病の陰に隠れたSADは、どのように見つけ
られるのでしょうか。

本当に、TPOをわきまえない質問で、申し訳ありません。
「アホな毎日新聞」を毎日読んでいるので、洗脳されて、立派な
アホになったかも(笑)。

あと3日間、どうぞ無理なさらないでお過ごしください。
2008/08/23(Sat) 01:35 | URL  | カノン #-[ 編集]
前半部に対する返事
カノンさん

>片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、この5日間を
がんばっていらっしゃるご様子は、金メダル級の感動です。
このまま、比較的穏やかな時間が流れて、5日経ってくれることを
願っています。

いつもいつも有難うございます。片手に「謙虚さ」、もう片方の手に「勇気」を持って、生き抜きたいと思います。

社会不安障害には、三環系抗うつ薬が効くというエビデンスはないようですね。きちんと論文を探せば、効くという論文はあるのかもしれませんが、僕はデイビッド・V. シーハンらが書いた「社会不安障害」くらいしか、きちんと読んでいないので、社会不安障害には三環系抗うつ薬が効くというエビデンスはないという理解です。

一方、うつ病、気分変調症、パニック障害には、SSRIも三環系抗うつ薬も効くというエビデンスがあります。うつ病についての三環系抗うつ薬のエビデンスはエントリーの通りです。
一つ断っておきたいのは(一応、これでも専門家なので)、うつ病治療においては、三環形抗うつ薬と比べて、SSRIの方が脱落が少なかったとは言えない、副作用が少なかったとは言えない、副作用の種類が違うだけである結論を出しているメタアナリシスがあるということです。
和文で結論だけを読むのであれば、エビデンス精神医療(古川壽亮著、医学書院)のp380~381を読まれるといいと思います。精神科医にとっては非常に素晴らしい本だと思うのですが、それ以外の方はどこかで借りるか立ち読みで済ます、でOKかと思います。

前半部に対する返事は、これくらいでいいかな、と思います。
2008/08/23(Sat) 12:19 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
後半部に対する返事
カノンさん

初診の場合は、「何に困って、今日は、いらっしゃったのですか。」というところがポイントになると思います。
気分が落ち込む、つらい、眠れない、食欲がない、疲れやすい、こんなに辛いんだった死んでしまった方がましだと思う、などいろいろあると思うのですが(全てうつ病の症状ですね)、うつ病の症状を訴えていらした方については、まずはうつ病の診断を優先する、これでいいと思います。
うつ病を診断するに当たって、一つ気をつけておきたいのが、「以前に躁状態もしくは軽躁状態になったことがあるか。」です。
うつ病と躁うつ病(双極性障害)は同じ気分障害に分類されますが、治療方針(使う薬)が違います。だから、うつ病を診断するにあたって、気を付けるべきことは「躁うつ病の患者さんがうつ状態になって来ている。」のを除外することです。
本当は、うつ病の陰に隠れた社会不安障害も初診時にきちんと診断できたらいいのですが、時間に制約があることから、うつ病の診断のついた方に併存する不安障害(社会不安障害とか)について積極的に問診することはあまりないです。
自分から「人前で話したり、知らない人と会ったりするのがすごく苦痛で。」と話されるのであれば、社会不安障害についての問診もしますが。
現場レベルでは、うつ病と社会不安障害を併発している患者さんがいたとすると、うつ病の程度が中等症以上だと認知行動療法どころじゃないでしょうから、まず、うつ病を良くして、それから・・・で十分かなと思っています。

毎日新聞は、どうも医療関係の記事の中に偏った記載を時々見かけるので、つい「アホ!」と言ってしまいました。
2008/08/23(Sat) 13:05 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
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