癌との共存を目指しています。
がん患者学Ⅰ(柳原和子著)を引き続き読んでいる。僕は、何冊かの本を平行して読むので、一冊の本を読了するのにだいぶ時間がかかる。もっと言うと、一冊の本を読了するということがなかなか無い。

61歳、女性。卵巣がんを1992年に発症している。ロサンジェルスに在住。UCLAの病院で手術、抗癌剤治療を受け、本が書かれた時点で8年間、生存している。
癌が見つかった時点で、胸水(肺に水が貯まる)が貯まり、そこから癌細胞が検出されている。従って、stage Ⅳ(4期)である。
手術で原発巣(卵巣にある腫瘍)を取り、後は、化学療法というパターン。(僕と一緒です。)
化学療法4日目。「少しずつ飲んでも、食べても全て吐いてしまう。」化学療法開始後24時間経たないうちから嘔吐が出現、4日目まで続いていたという。5日目も「吐気に悩まされる一日。」6日目「少しは食べなくては。でも食欲ゼロ。(午後)2時まで眠った。体が弱っているのを感じる。3時過ぎ(職場である)事務所へ行く。」
治療はシスプラチン(恐らく単独)のグループ。治療法別の生存率の比較統計を取るための治験に参加し、シスプラチン(単独)群に割り振られている。僕が受けている抗癌剤は、オキサリプラチンと5-FUであるが、オキサリプラチンはシスプラチンの副作用を少なくした版であるらしい。なお、プラチンとは、Ptすなわち白金製剤であることを意味する。以前、赤ちゃんを身ごもった女性を流産させるのに、銀か銅の粉を飲ませるというシーンが大河ドラマか何かの時代劇(時代は戦国時代か江戸時代)であった。それを考えると、白金製剤って一体どうなん?という感じである。
なお、僕が投与を受けているオキサリプラチンは吐気、食欲減退の他、手や喉がしびれるという副作用がある。まあ、吐気、食欲減退の副作用は、明らかにシスプラチンの方が強いようであるが。
この方は、シスプラチンが奏効し、腫瘍は無くなり、以後、8年間、再発無しという経過を辿っている。

この方の章には、主治医(UCLAの教授)のコメントが載せられてあり、参考になる。(p447より抜粋)
「正直言って、彼女はとても厳しい卵巣癌だった。組織(学)的分類でも、かなり攻撃性の強い、侵襲性の強いがんでしたね。同じ癌を患った患者さんでも、ほとんど90%は残念ながら亡くなってしまうような種類の癌だった。進行度から考えれば、抗癌剤治療の有効率は20%から多くて30%。彼女は幸運にもその20%に入っていたのかもしれない。(中略)だいたいの患者さんが一度は抗癌剤治療で良くなるのだけど、2,3年後に再発するケースが非常に多い。その後8年間、彼女は全く元気にしています。彼女のケースで5年生存を果たしたというのは、全く通常では考えられません。たぶん、彼女は治癒したんです。(中略)」
私(著者)は最後に聞いた。「先生の豊富な体験による観測で、治る患者にはある種の傾向がありますか。」
「若くて健康な人には治癒するチャンスが高いですね。後は完全な治療を最後まで受けた人もやはり治癒する傾向が高い。」

特に最後の質問に対する答えは非常に参考になった。
「若くて健康な人には治癒するチャンスが高い。」→まさしく以って、僕のことではないか!
「完全な治療を最後まで受けた人も治癒する可能性が高い。」→どうも化学療法は億劫だな、などと最近は思うことがあるので(だって、抗癌剤の影響がない時は、ほんと健康そのもの!)、化学療法の効果については注意して読んでいた。Dr.ベレックという、この先生は、化学療法をきちんと受けることの重要性を強調している。

この女性(Aさんとする)は34歳のとき、アメリカでコマーシャルやテレビ番組の制作会社を創設し、卵巣癌になった当時も、そこの社長をしていた。夫とは既に死別しているが、2人の息子がいる。
Aさんの発言をいくつか拾い上げる。
「私もともとすごく元気なんです。超健康でした。」→僕も結構、元気だったし、「超健康」でした。
「抗癌剤治療が続いている中で、私はバルセロナのオリンピックにも行っています。息子達を連れて、東西ベルリンの壁の跡を歩いたり、ロシアへ釣りの旅にも行ったんですよ。」
「癌だからやれない、やらなかったってことは本当に一つもなかった。(中略)」
一言で言うと、この人は並外れた気力とバイタリティを持っている方なんだと思う。

Dr.ベレックが言うように抗癌剤が合っていたのかもしれないし、もっと言うと、幸運だったのかもしれない。ただ、Aさんの並外れた気力、バイタリティを見ていると、運(幸い、抗癌剤の効くタイプの癌だった)と考えるよりは、Aさんの気力、バイタリティが癌細胞の消失、治癒に何らかの影響を及ぼしている可能性が高いと考える方が妥当だと思う。

がん患者学Ⅰの副題は「長期生存患者たちに学ぶ」である。長期生存患者たちから学ぶところは多い。

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【2008/07/21 14:01】 | 読書
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