癌との共存を目指しています。
「気分障害の薬物治療アルゴリズム 」という本がある。その本に、「進行癌のうつ病」という項目がある。(大体、そんな名前の項目だったと思う。今、手元にない。)以前、緩和ケアチームの一員として診療をしていた時に、その項目を参考にしていた。

その後、僕自身が進行癌になり、術後1週間ほど、うつ状態になった。ちょっとしたことで、涙が溢れる、涙が止まらなくなっていた。僕の場合は、手術そのものによる侵襲が大きかったことが、うつ状態になった、直接の原因だったと思う。

「気分障害の薬物治療アルゴリズム 」の「進行癌のうつ病」の項目は、今、考えても、よく書けていると思う。これに(この項目を読んで憶えていることに)、僕の、医者として患者としての経験を加えて、少し書いてみたい。

「進行癌のうつ病」の項目では、軽症のうつ病の方に対しては、抗うつ薬、抗不安薬のコンスタン(同効薬として、ソラナックス)、リタリン(メチルフェニデート)を奨めていたと思う。(憶えていれば、上記の本を家に持って帰って来て、確認します。)
実際、コンスタンは、当時の主治医に言って、処方してもらったが、よく効いた。しかし、依存性がある薬なので、止められるのであれば、早い目に止めた方がいいと思う。僕は、4,5日は、1日に2錠か3錠、飲んで、その後、1錠ずつ減らして行って、1週間位で止めた。

「進行癌のうつ病」の項目で奨められていて、僕も緩和ケアチームにいた時、よく処方していた抗うつ薬にテトラミドという薬がある。総合病院の精神科に勤務していた時、この薬をよく処方したが、目立ったトラブルもなく、また、通院している患者さんには、時に効果を示すこともあった。ただ、よく効いたケースを思い返すと、肺炎で入院した後、うつ状態が続いた(診断は、うつ病)70歳代半ばの女性など進行癌の方は思い出せない。
なお、僕も術後、主治医に言って、1週間ほど、処方してもらったが、はっきり言って、抑うつ気分(涙もろい、涙が止まらない)に対する効果は、なかった。テトラミドは眠気が出る薬としても知られているが、テトラミドと睡眠薬(レンドルミン)を飲んでも、2時間位で目が覚めてしまい、その後、なかなか寝付けなかった。要は、効果がなかった、ということである。

進行癌のうつ病の人(厳密に言うと、うつ病の診断基準を満たす人)については、入院患者さんでは、自分自身を含めて、あまり抗うつ薬の効果を実感することは、なかった。(僕の経験が不足しているところが大きいだろう。)ただ、「進行癌のうつ病」の項目に、「希死念慮(死にたいと思う)がある人は積極的にうつ病であると診断して・・・。」と書かれていたと記憶しているが、これは僕も同意見である。そして、程度の問題であるが、希死念慮があるケースでは抗うつ薬の処方を僕は考える。

少し眠くなったので、また、日を改めて、書きます。

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【2010/04/04 04:18】 | 精神科
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抗がん剤治療中のうつ
めえめえ
私も抗がん剤治療を始めて1ヶ月くらいからひどいうつ状態になりました。全てがいやになり箸を持つことさえ億劫で、食事も手づかみで食べていました。治療を止め、すべてを捨てて放浪の旅に出たいと思ったものです。
半年後、抗がん剤が終わっても副作用が強く残り、このままずっと続くのかと思ったら、またうつに。生きていることが辛くて辛くて何回も死のうと思いました。24時間首を絞められているような苦しさでした。
発病から丸1年後のゼミ同窓会。その日まで生き延びることが最初の目標でしたから、終わった途端にまたうつ状態に。
ガンになってからこの「心のコントロール」が一番大変でしたから、ガン経験者であるのっぽ先生にはこの分野でも頑張ってほしいのです。よろしくお願いします。

管理人のみ閲覧できます
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示唆に富んだ道程
カノン
今回も、患者さんとしてのご経験と、それを検証するような医師としての客観的な思考が、見事に融合した卓越したエントリーです。

これまで、のっぽ先生のブログが拝読してきて、私が抱いた感想は、1つには、うつ病の患者さんに、これを飲めば治りますという、万人に効く夢のような薬は、残念ながらまだない、ということ、2つには、薬物療法だけでは、再発予防ということも含めて、完全に治ることは難しい、ということです。

精神科医である、のっぽ先生でさえ、豊富な知識をお持ちの抗うつ剤のみでなく、すばらしい本に巡り合うことで、自らの考えを変容させる道を歩んでいらしたということは、非常に示唆に富んだ事実であるように思います。

前回教えていただいた認知行動療法も、大変勉強になりました。ありがとうございます!
私には、暴露療法の中のフラッディング法に、望むと望まざるとにかかわらず、がん患者の皆さまが、直面させられているような気がしてなりません。

この土日に、卒業旅行と称して、友だちと京都に行ってまいりました。醍醐の桜を愛で、ライトアップされた二条城の幻想的な桜を満喫しました。
そして、もう1つの目的は、三十三間堂に行くことです。ご本尊に、のっぽ先生の手術が成功裏に終わりますようにということと、ここに集う皆さまの心の平安を祈ってきました。

いろいろなご準備でお忙しい時ですし、この書き込みへのお返事は、どうぞご放念ください。



今後の立ち位置
のっぽ187
めえめえさん

初めのエピソードは、抗癌剤治療中で、2回目と3回目のエピソードは、抗癌剤治療の後ですね。

抗癌剤がうつの引き金になったかどうかは分かりませんが、文面から察するに、かなり辛かったのではないか、と思います。

気分障害(うつ、躁うつ)には、もともと、関心を持っていました。しかし、うつの方を診るのは、気力を要するので、今後、どういったスタンスで診療をして行けばいいのか、少し迷うところです。(外来で、うつの患者さんをたくさん診るのは、なかなかハードでした。)


のっぽ187
匿名の方へ

お帰りをお待ちしています。

>僕が知っているがん患者は皆良い人ばかりです。理由は分かりませんが、思い込みでもありません。

「癌患者さんは皆良い人。」という説は、僕もそうかな、と思っています。


有難うございます!
のっぽ187
カノンさん

お言葉に甘えて、簡単な返事とさせて頂きます。

>1つには、うつ病の患者さんに、これを飲めば治りますという、万人に効く夢のような薬は、残念ながらまだない

ないですね。

それで全ての人のうつが良くなる訳ではないのですが、認知を変えるのは、有効だと考えています。

>ご本尊に、のっぽ先生の手術が成功裏に終わりますようにということと、ここに集う皆さまの心の平安を祈ってきました。

有難うございます!

成功を願ってます!
しろ
のっぽ187先生

三度目のガン、早期胃ガンが噴門部にでき場所が
胃カメラらがUの字になる難しい手術でした、その部分を傷つけ、穿孔おこし空気が肺に流れ込み、肺気腫をおこしました、後にガン細胞が散らなかったかと聞きましたら、焼ききってるので大丈夫だとのことでしたが、噴門部にイレウスを起こし逆流性食道炎をおこし難渋しているところです。寝るとき腹部より起す、トイレで力まない、前屈み困難など
最初の大腸ガンⅡ、2度目の進行胃ガンⅡで入眠剤を服用するようになり今は手放せなくなってます。

逆流性食道炎の不具合さからか、寒気がおきるようになり、ガンではならなかった不安感などのプちうつを患い、つらかったですが、現状辛さを認めてから、プチうつから逃れられてるようです。いつも視野が広く、優しい適切なコメントなされて敬服してるカノンさんのご返事に「認知を変えるのは、有効だ」とありました、自分もそのようです。
自分のことで長くなりましたご容赦ください。
14日に京都の東福寺塔中寺院で秘仏毘沙門天像の公開があります。のっぽ187先生の手術の成功、良好な経過観察を祈願させていただきます。。。


プチうつ
のっぽ187
しろさん

一部、先に返事致します。

>カノンさんのご返事に「認知を変えるのは、有効だ」とありました、自分もそのようです。

重症のうつ病の方に対しては、「認知を変える」というアプローチ自体、取れないのですが(例えば、自分はもう駄目だ、と頑なに信じているようなケース)、「プチうつ」には、「認知を変える」というアプローチは有効だと思います。

手元に資料がないので(今、自宅にいます。)、自分の記憶に頼って書いているのですが、認知療法が、効果があるとされているのは、主に軽症のうつ病とされています。

成功をお祈りしています。
めえめえ
のっぽ先生いよいよ入院手術ですね。
自分の時は不安より期待が大きく、ワクワクしていました。良くなるための手術。頑張ってください。

有難うございます。
のっぽ187
しろさん

>14日に京都の東福寺塔中寺院で秘仏毘沙門天像の公開があります。のっぽ187先生の手術の成功、良好な経過観察を祈願させていただきます。。。

有難うございます。
明日の午後、入院の予定です。

有難うございます。
のっぽ187
めえめえさん

1年余り、僕としては、詰めて仕事をした、と感じています。

今は、リフレッシュ休暇のような心境です。

>成功をお祈りしています。

有難うございます。

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抗がん剤治療中のうつ
私も抗がん剤治療を始めて1ヶ月くらいからひどいうつ状態になりました。全てがいやになり箸を持つことさえ億劫で、食事も手づかみで食べていました。治療を止め、すべてを捨てて放浪の旅に出たいと思ったものです。
半年後、抗がん剤が終わっても副作用が強く残り、このままずっと続くのかと思ったら、またうつに。生きていることが辛くて辛くて何回も死のうと思いました。24時間首を絞められているような苦しさでした。
発病から丸1年後のゼミ同窓会。その日まで生き延びることが最初の目標でしたから、終わった途端にまたうつ状態に。
ガンになってからこの「心のコントロール」が一番大変でしたから、ガン経験者であるのっぽ先生にはこの分野でも頑張ってほしいのです。よろしくお願いします。
2010/04/04(Sun) 21:20 | URL  | めえめえ #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/04/05(Mon) 02:13 |   |  #[ 編集]
示唆に富んだ道程
今回も、患者さんとしてのご経験と、それを検証するような医師としての客観的な思考が、見事に融合した卓越したエントリーです。

これまで、のっぽ先生のブログが拝読してきて、私が抱いた感想は、1つには、うつ病の患者さんに、これを飲めば治りますという、万人に効く夢のような薬は、残念ながらまだない、ということ、2つには、薬物療法だけでは、再発予防ということも含めて、完全に治ることは難しい、ということです。

精神科医である、のっぽ先生でさえ、豊富な知識をお持ちの抗うつ剤のみでなく、すばらしい本に巡り合うことで、自らの考えを変容させる道を歩んでいらしたということは、非常に示唆に富んだ事実であるように思います。

前回教えていただいた認知行動療法も、大変勉強になりました。ありがとうございます!
私には、暴露療法の中のフラッディング法に、望むと望まざるとにかかわらず、がん患者の皆さまが、直面させられているような気がしてなりません。

この土日に、卒業旅行と称して、友だちと京都に行ってまいりました。醍醐の桜を愛で、ライトアップされた二条城の幻想的な桜を満喫しました。
そして、もう1つの目的は、三十三間堂に行くことです。ご本尊に、のっぽ先生の手術が成功裏に終わりますようにということと、ここに集う皆さまの心の平安を祈ってきました。

いろいろなご準備でお忙しい時ですし、この書き込みへのお返事は、どうぞご放念ください。

2010/04/05(Mon) 23:26 | URL  | カノン #-[ 編集]
今後の立ち位置
めえめえさん

初めのエピソードは、抗癌剤治療中で、2回目と3回目のエピソードは、抗癌剤治療の後ですね。

抗癌剤がうつの引き金になったかどうかは分かりませんが、文面から察するに、かなり辛かったのではないか、と思います。

気分障害(うつ、躁うつ)には、もともと、関心を持っていました。しかし、うつの方を診るのは、気力を要するので、今後、どういったスタンスで診療をして行けばいいのか、少し迷うところです。(外来で、うつの患者さんをたくさん診るのは、なかなかハードでした。)
2010/04/08(Thu) 00:35 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
匿名の方へ

お帰りをお待ちしています。

>僕が知っているがん患者は皆良い人ばかりです。理由は分かりませんが、思い込みでもありません。

「癌患者さんは皆良い人。」という説は、僕もそうかな、と思っています。
2010/04/08(Thu) 21:40 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
有難うございます!
カノンさん

お言葉に甘えて、簡単な返事とさせて頂きます。

>1つには、うつ病の患者さんに、これを飲めば治りますという、万人に効く夢のような薬は、残念ながらまだない

ないですね。

それで全ての人のうつが良くなる訳ではないのですが、認知を変えるのは、有効だと考えています。

>ご本尊に、のっぽ先生の手術が成功裏に終わりますようにということと、ここに集う皆さまの心の平安を祈ってきました。

有難うございます!
2010/04/08(Thu) 21:55 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
成功を願ってます!
のっぽ187先生

三度目のガン、早期胃ガンが噴門部にでき場所が
胃カメラらがUの字になる難しい手術でした、その部分を傷つけ、穿孔おこし空気が肺に流れ込み、肺気腫をおこしました、後にガン細胞が散らなかったかと聞きましたら、焼ききってるので大丈夫だとのことでしたが、噴門部にイレウスを起こし逆流性食道炎をおこし難渋しているところです。寝るとき腹部より起す、トイレで力まない、前屈み困難など
最初の大腸ガンⅡ、2度目の進行胃ガンⅡで入眠剤を服用するようになり今は手放せなくなってます。

逆流性食道炎の不具合さからか、寒気がおきるようになり、ガンではならなかった不安感などのプちうつを患い、つらかったですが、現状辛さを認めてから、プチうつから逃れられてるようです。いつも視野が広く、優しい適切なコメントなされて敬服してるカノンさんのご返事に「認知を変えるのは、有効だ」とありました、自分もそのようです。
自分のことで長くなりましたご容赦ください。
14日に京都の東福寺塔中寺院で秘仏毘沙門天像の公開があります。のっぽ187先生の手術の成功、良好な経過観察を祈願させていただきます。。。
2010/04/09(Fri) 00:33 | URL  | しろ #-[ 編集]
プチうつ
しろさん

一部、先に返事致します。

>カノンさんのご返事に「認知を変えるのは、有効だ」とありました、自分もそのようです。

重症のうつ病の方に対しては、「認知を変える」というアプローチ自体、取れないのですが(例えば、自分はもう駄目だ、と頑なに信じているようなケース)、「プチうつ」には、「認知を変える」というアプローチは有効だと思います。

手元に資料がないので(今、自宅にいます。)、自分の記憶に頼って書いているのですが、認知療法が、効果があるとされているのは、主に軽症のうつ病とされています。
2010/04/09(Fri) 22:50 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
成功をお祈りしています。
のっぽ先生いよいよ入院手術ですね。
自分の時は不安より期待が大きく、ワクワクしていました。良くなるための手術。頑張ってください。
2010/04/11(Sun) 19:21 | URL  | めえめえ #-[ 編集]
有難うございます。
しろさん

>14日に京都の東福寺塔中寺院で秘仏毘沙門天像の公開があります。のっぽ187先生の手術の成功、良好な経過観察を祈願させていただきます。。。

有難うございます。
明日の午後、入院の予定です。
2010/04/12(Mon) 00:08 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
有難うございます。
めえめえさん

1年余り、僕としては、詰めて仕事をした、と感じています。

今は、リフレッシュ休暇のような心境です。

>成功をお祈りしています。

有難うございます。
2010/04/12(Mon) 00:12 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
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