癌との共存を目指しています。
昨夜は、高校時代の同級生に会った。小4~中3と同じ塾に通っていたので、9年間の付き合いがあった。二人とも、一浪して、大学に入っている。彼は、東京の大学に行ったため、大学に入ってからは、会っていない。17年ぶりに会ったことになる。夕方の4時半から夜中の12時まで、7時間半、一軒のお店に居たのだが、話題は尽きることはなく、それは幸せな時間だった。いくつも驚かされる話があったのだが、僕にとって深く考えさせられた話を一つしたい。

小4~中3と同じ塾に通い、その間、半年間だけ違うクラスになったのだが、後は、ずっと同じクラスだったので、5年半、同じクラスだったことになる。当時、僕は社会科が一番良く出来ていた。当時の記憶を辿ると、他の科目は勉強が苦痛だったが、社会科の勉強をしている時だけは、すごく楽しかったのを憶えている。
「のっぽは、文系や、と俺は思っていたんや。」と彼は言う。

思い起こせば、高校時代、物理や化学は苦労したし、何より勉強が苦痛だった。物理を勉強していて思ったのは、「これで飯を食っていく(理学部に行って、研究者になる)のは、厳しいだろうな。」ということだった。数学も微積を勉強している時は、同じ事を思った。何とか医学部に潜り込んだら、今度は、生物の単位が取れなくて、留年しそうになる。進級したらしたで、自分としては、ちゃんと準備して行ったつもりの試験に落ちてしまう。「俺、昔はもう少し勉強、出来ていたはずなんだけどな。」とよく思ったものだった。何とか医者になり、初めは内科医を志していたが、A先生のアドバイスもあり、精神科を専門にすることにした。

1990年代半ばの医学部の授業は、遺伝子の話が多く、そういうことに殆ど関心のない僕は、正直、辟易していた。最終的には、遺伝子云々と最も遠いところにある精神科の臨床を、僕は仕事として選んだ。精神科の仕事は、法律を踏まえた上で為されることが多く、多分に「文系」的な要素を含むものである。はっきりと意識したことは無かったが、僕は、その文系的なところに心地良さを感じさえしていたと思う。

なので、彼の指摘には驚いた。いつから、そう思っていたのか、と訊くと、「中学生の時から。」と言う。僕が言葉を失っていたら、「のっぽは、数学や理科の一分野(高校の理科の物理と化学に相当する)が出来ていたから、自分では理系だと思っていたかも知れんけど。」と言う。「のっぽ、文章、書くの、昔から得意やったやろ。」

昔から、よく人を観察し、かつ、そのことをよく憶えているやつだったが、昨日の話は、正直、驚いた。彼曰く「俺は、(のっぽほど)数学は出来んかったし、理科も出来んかったから、早いうちから文系や、と思っていたんや。」と。そして「のっぽは、数学も理科も、それなりに出来ていたから、錯覚したんやろな。」と言う。

改めて、自分は錯覚していた、と思った。もう今更、引き返すことも出来ないし、やり直すつもりもない。彼は言う。「文系を選んでいたら、それ程、(大学に入るのに)苦労すること、なかったん違うか。」そして最後にボソッと「器用貧乏やな。」と言った。「器用貧乏」とは、言い得て妙である。彼曰く「文系で、数学が出来たら、すごく重宝されるで。」と。そうだったのか。

人は自分のことは意外と分からないものなんだな、と思うと同時に、それでも、無意識のうちに自分に合った方に進んで行くんだな、と思った。ただ、若くして進行癌を持つようになり、患者として癌と向き合うようになった際には、医者としての知識が役に立っているのも、また事実である。運命とは、奥の深いものである。

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【2009/01/12 21:59】 | 日記
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No title
あんず
本当にそう思います。っていうか私も中年と呼ばれる年になってから、実は理系だったんだと納得したことがあったのです。

自分はずっと文系だと疑わず、英米文学を学び英国史を選択し、フランス語も勉強したのに、今やエンジニアだもん。クルマやヒコーキや医療機器などの設計開発を支援しているんですよ。学生時代には全く、思ってもみなかった。。。

高校生の時の物理や化学はつまらなくて大嫌いだったけど、成績は常に10だった。やっぱり向いていたんだろうか???誰か見抜く人が近くにいたら、私の人生違っていたかもしれませぬ。


自分で自分のことは分からない。
のっぽ187
あんずさん

>自分はずっと文系だと疑わず、英米文学を学び英国史を選択し、フランス語も勉強したのに、今やエンジニアだもん。クルマやヒコーキや医療機器などの設計開発を支援しているんですよ。学生時代には全く、思ってもみなかった。。。

自分は文系だと疑わず―ここですよね。自分で、「文系(理系)だ。」と思ってしまうと、勉強していることが「面白くないなあ。」「全然、分からん。」と感じられても、訂正が利かないですよね。
理系から文系は、何とかなりそうな気がするのですが、文系から理系への路線変更は大変な気がします。

>高校生の時の物理や化学はつまらなくて大嫌いだったけど、成績は常に10だった。やっぱり向いていたんだろうか???誰か見抜く人が近くにいたら、私の人生違っていたかもしれませぬ。

今を思えば、「勉強するのが苦痛ですか。楽しいですか。」がいい指標だったと思います。それにしても、高校の物理や化学は、面白くなかったですよね。個人的には、一番難しいとされる力学を初めに習うのがまずいと思います。(物理の話ですね。)力学はさらっと流して、エネルギーの話くらいから始めるのがいいかな、と思っています。

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この記事へのコメント
No title
本当にそう思います。っていうか私も中年と呼ばれる年になってから、実は理系だったんだと納得したことがあったのです。

自分はずっと文系だと疑わず、英米文学を学び英国史を選択し、フランス語も勉強したのに、今やエンジニアだもん。クルマやヒコーキや医療機器などの設計開発を支援しているんですよ。学生時代には全く、思ってもみなかった。。。

高校生の時の物理や化学はつまらなくて大嫌いだったけど、成績は常に10だった。やっぱり向いていたんだろうか???誰か見抜く人が近くにいたら、私の人生違っていたかもしれませぬ。
2009/01/14(Wed) 13:05 | URL  | あんず #bWZdFEcQ[ 編集]
自分で自分のことは分からない。
あんずさん

>自分はずっと文系だと疑わず、英米文学を学び英国史を選択し、フランス語も勉強したのに、今やエンジニアだもん。クルマやヒコーキや医療機器などの設計開発を支援しているんですよ。学生時代には全く、思ってもみなかった。。。

自分は文系だと疑わず―ここですよね。自分で、「文系(理系)だ。」と思ってしまうと、勉強していることが「面白くないなあ。」「全然、分からん。」と感じられても、訂正が利かないですよね。
理系から文系は、何とかなりそうな気がするのですが、文系から理系への路線変更は大変な気がします。

>高校生の時の物理や化学はつまらなくて大嫌いだったけど、成績は常に10だった。やっぱり向いていたんだろうか???誰か見抜く人が近くにいたら、私の人生違っていたかもしれませぬ。

今を思えば、「勉強するのが苦痛ですか。楽しいですか。」がいい指標だったと思います。それにしても、高校の物理や化学は、面白くなかったですよね。個人的には、一番難しいとされる力学を初めに習うのがまずいと思います。(物理の話ですね。)力学はさらっと流して、エネルギーの話くらいから始めるのがいいかな、と思っています。
2009/01/15(Thu) 23:07 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
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