癌との共存を目指しています。
ついに師走。今年は、ほんと、いろいろあった。昨年の今頃は、いい意味で、診療に集中していた。今思うと、隔世の感がある。

僕は、手術を受けた病院で入院中、担当の薬剤師さんと仲良くなった。僕が「化学療法について勉強したい。」と言うと、その薬剤師さんは、ASCO(American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会)2006年、2007年のまとめ(和訳されている)を僕に手渡してくれた。その中に、手術不能の大腸がん患者さんに対し、FOLFOX療法を行った時の生存期間中央値(20ヶ月)、FOLFOX療法+アバスチンを行った時の生存期間中央値(24ヶ月)が書いてあった。これを見た時の衝撃は非常に強かった。「ああ、もう駄目だ。」と一瞬思った後、そこからは何も頭に入らなくなった。今でも、この冊子に書いてあった内容は、殆ど思い出すことが出来ない。そもそも、20ヶ月という数字自体、長らく忘れてしまっていた。(自宅でインターネットをしていたら、たまたま、同じ論文を見つけてしまい、思い出した。)

薬剤師さんは、親切で僕にASCO2006年、2007年のまとめを手渡してくれたんだと思う。また、僕が医者だと知っていたので、「行けるだろう。」と思い、手渡してくれたんだと思う。しかし、患者としての僕は、ショックのあまり健忘を起こしてしまった。

医者(医療者)と患者の間には、しばしば行き違いが起こる。僕は、今のところ、これについて、いい解決方法が思い付かない。ただ、多くの医者(医療者)には、それなりの良心があり、全ての患者は「良くなりたい。」「長生きしたい。」と思っている。根本的なところでは、方向性は同じはずなのに、細かい方法論(すなわち治療)のところでは、意見がしばしば食い違う。もしくは、医者(医療者)としては「良かれ。」と思ってしたことが、患者サイドとしては、望んでいたことと違う、ということもある。患者サイドとしては、担当してくれる先生と上手にコミュニケーションを図る、これ位だろうか。

裏の神社へ向かう坂道を歩きながら、ふと考えた。

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【2008/12/01 18:23】 | 思ったこと
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No title
あおくん
おはよう。

専門的なとこだと生存期間中央値なる言葉を耳にします。
俺発覚がちょうど1年前なのでちょうど12ヶ月。
最近は腹が痛くて明らかにQOLが下がってる。
来年の年末どうなってるとか.
色々考えちゃうよなぁ...
いかん、後ろ向きだ、前向きにいかにゃいかんね。
主治医には次の入院でも腹痛をちゃんと訴えます。

一緒に長生きしましょう!
のっぽ187
あおくん

生存期間中央値は、ご存知のように、あるグループに100人患者さんがいた時、そのグループ内で50番目に亡くなった患者さんが何ヶ月生きたか、という数値です。なので、一部の患者さんは長く生存されています。

記事に書いた比較試験は、60歳代、70歳代の方も参加されていた(きちんとした記憶がないです。インターネットでまた調べたらいいんでしょうけど、論文またはサマリーを読むのが正直、億劫なので、調べないです。)ので、30歳代半ばである僕らは、長生き組に入れる可能性は十分あると最近では考えています。

一緒に長生きしましょう!

医師が患者になると・・・
ran
同じ医療従事者ということで要らぬ情報も入ってきますよね
患者の気持ち。というものより医者という立場が優先しちゃうかな?
医学がわかる故大変だ~~って思っちゃいました

のっぽさんもあおくんも病気初心者だよ
私はもうすぐ3年。転移2年だからね。まだしぶとくしがみつきますよ
主治医との関係とコミュニケーション。うまくとって・・・・・
私のは参考にならないけど、意見はしっかり話してきます
主治医は若いのにしっかり聞いてくれます
もしかしたら面倒な患者かも?って思うけど言わなきゃ先へは進めませんよ
ただ・・・移動になったらどうしよう。心配はそれだけ

まだまだ病気初心者
のっぽ187
ranさん

>医師が患者になると・・・
>同じ医療従事者ということで要らぬ情報も入ってきますよね
>患者の気持ち。というものより医者という立場が優先しちゃうかな?

そうですね。医者として、情報を与えてくれたんだと思います。

>のっぽさんもあおくんも病気初心者だよ

そうですね。

>もしかしたら面倒な患者かも?って思うけど言わなきゃ先へは進めませんよ

こちらから「こうして欲しい。」ということは、はっきり言わないといけないですよね。

記憶の彼方
カノン
のっぽ先生にとって、本当に過酷な一年でしたね。あまりに大きな
衝撃を受けると、自分を守るために、ショックな事を忘れてしまうと
いう、人間の不可思議を思うとともに、それほどまでの経験を、して
しまわれたことに、心が痛みます。

マザー・テレサは、「祈るために仕事を中断する必要はないのです。
仕事を祈りであるかのように、し続ければよいのです」と言ってい
ます。
大丈夫!復帰なさっても、今ののっぽ先生は、これまで通り、
「良い医者」であり続けられることでしょう。

医療者と患者、特に、主治医と患者間のコミュニケーションは、
本当にとても難しいですね。
父は肝臓がんで、大学病院で告知された時は、手術できない状態
でした。代替療法である免疫療法を薦めてくれる方がいて、補助的
に免疫療法も受けたい旨を、父は主治医に話しました。
でも、結局、大学病院に見放されたようになってしまい、免疫療法
を薦めてくれた方の身内のドクターが、赤十字病院への転院を
取り計らってくれました。
後悔はしていないのですが、上手に話すことと、上手に黙っている
こと、簡単にやり直しがきかない場面で、コミュニケーション・スキル
が試されることの重さを感じます。

昨夜、NHK特集「さまよえるがん患者」を観て、暗澹たる気分になり
ました。医師は所属する病院の方針に沿わなければならず、病院
の方針は、国の医療制度に左右されます。
国が進める医療費削減政策は、バブル期の国の無策と、選挙対策
で国民におもねったツケが、今、重くのしかかっている結果です。
主治医さんと患者さんとの治療をめぐる大切な関係とは、かけ離れ
たところで、大きな流れに翻弄される医療現場って、両方にとって
つらいものだなあ、と思います。


医療費削減政策
のっぽ187
カノンさん

>のっぽ先生にとって、本当に過酷な一年でしたね。

そうでした。ほんと、堪えました。

>衝撃を受けると、自分を守るために、ショックな事を忘れてしまうという、人間の不可思議を思うとともに、それほどまでの経験を、して しまわれたことに、心が痛みます。

僕は、強いショックを受けると、その前後の記憶が飛ぶようです。とにかく、今年の3月、4月は、強いショックの連続でした。

>大丈夫!復帰なさっても、今ののっぽ先生は、これまで通り、「良い医者」であり続けられることでしょう。

有難うございます!
出来れば、「良い医者」であり続けたい、そう思っています。

>でも、結局、大学病院に見放されたようになってしまい、免疫療法を薦めてくれた方の身内のドクターが、赤十字病院への転院を 取り計らってくれました。

大学病院は、2つ3つ位しか事情は分からないのですが、勤務している医者にとっても、融通のきかない組織でした。
一方、赤十字病院は、自分が勤めたところしか事情は分からないのですが、いいところでした。
詳細は分からないので、自信を持ってコメントすることは出来ないのですが、転院は良い判断だったと思います。

>上手に話すことと、上手に黙っていること、簡単にやり直しがきかない場面で、コミュニケーション・スキルが試されることの重さを感じます。

患者になってみて、改めて、医者(医療者)とコミュニケーションを図るのがいかに難しいかを感じます。

>主治医さんと患者さんとの治療をめぐる大切な関係とは、かけ離れたところで、大きな流れに翻弄される医療現場って、両方にとってつらいものだなあ、と思います。

非常に的を得た指摘だと思います。
医者をしている頃から、国が進める医療費削減政策は、僕ら(医者)の足を引っ張っていました。
患者になってからも、国が進める医療費削減政策は、金銭面(医療費の支払い)とアクセス(主治医ときちんと話し合う時間が十分とれない)、クオリティ(主治医と十分、話が出来ないと、受ける医療の質は落ちる)の3点から、僕ら(患者)に負担、不利益をもたらしています。
国が進める医療費削減政策は、医者(医療者)、患者の双方に負担、不幸をもたらしていると思います。

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No title
おはよう。

専門的なとこだと生存期間中央値なる言葉を耳にします。
俺発覚がちょうど1年前なのでちょうど12ヶ月。
最近は腹が痛くて明らかにQOLが下がってる。
来年の年末どうなってるとか.
色々考えちゃうよなぁ...
いかん、後ろ向きだ、前向きにいかにゃいかんね。
主治医には次の入院でも腹痛をちゃんと訴えます。
2008/12/02(Tue) 08:22 | URL  | あおくん #-[ 編集]
一緒に長生きしましょう!
あおくん

生存期間中央値は、ご存知のように、あるグループに100人患者さんがいた時、そのグループ内で50番目に亡くなった患者さんが何ヶ月生きたか、という数値です。なので、一部の患者さんは長く生存されています。

記事に書いた比較試験は、60歳代、70歳代の方も参加されていた(きちんとした記憶がないです。インターネットでまた調べたらいいんでしょうけど、論文またはサマリーを読むのが正直、億劫なので、調べないです。)ので、30歳代半ばである僕らは、長生き組に入れる可能性は十分あると最近では考えています。

一緒に長生きしましょう!
2008/12/02(Tue) 13:18 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
医師が患者になると・・・
同じ医療従事者ということで要らぬ情報も入ってきますよね
患者の気持ち。というものより医者という立場が優先しちゃうかな?
医学がわかる故大変だ~~って思っちゃいました

のっぽさんもあおくんも病気初心者だよ
私はもうすぐ3年。転移2年だからね。まだしぶとくしがみつきますよ
主治医との関係とコミュニケーション。うまくとって・・・・・
私のは参考にならないけど、意見はしっかり話してきます
主治医は若いのにしっかり聞いてくれます
もしかしたら面倒な患者かも?って思うけど言わなきゃ先へは進めませんよ
ただ・・・移動になったらどうしよう。心配はそれだけ
2008/12/02(Tue) 20:00 | URL  | ran #LA1CAGAE[ 編集]
まだまだ病気初心者
ranさん

>医師が患者になると・・・
>同じ医療従事者ということで要らぬ情報も入ってきますよね
>患者の気持ち。というものより医者という立場が優先しちゃうかな?

そうですね。医者として、情報を与えてくれたんだと思います。

>のっぽさんもあおくんも病気初心者だよ

そうですね。

>もしかしたら面倒な患者かも?って思うけど言わなきゃ先へは進めませんよ

こちらから「こうして欲しい。」ということは、はっきり言わないといけないですよね。
2008/12/02(Tue) 21:38 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
記憶の彼方
のっぽ先生にとって、本当に過酷な一年でしたね。あまりに大きな
衝撃を受けると、自分を守るために、ショックな事を忘れてしまうと
いう、人間の不可思議を思うとともに、それほどまでの経験を、して
しまわれたことに、心が痛みます。

マザー・テレサは、「祈るために仕事を中断する必要はないのです。
仕事を祈りであるかのように、し続ければよいのです」と言ってい
ます。
大丈夫!復帰なさっても、今ののっぽ先生は、これまで通り、
「良い医者」であり続けられることでしょう。

医療者と患者、特に、主治医と患者間のコミュニケーションは、
本当にとても難しいですね。
父は肝臓がんで、大学病院で告知された時は、手術できない状態
でした。代替療法である免疫療法を薦めてくれる方がいて、補助的
に免疫療法も受けたい旨を、父は主治医に話しました。
でも、結局、大学病院に見放されたようになってしまい、免疫療法
を薦めてくれた方の身内のドクターが、赤十字病院への転院を
取り計らってくれました。
後悔はしていないのですが、上手に話すことと、上手に黙っている
こと、簡単にやり直しがきかない場面で、コミュニケーション・スキル
が試されることの重さを感じます。

昨夜、NHK特集「さまよえるがん患者」を観て、暗澹たる気分になり
ました。医師は所属する病院の方針に沿わなければならず、病院
の方針は、国の医療制度に左右されます。
国が進める医療費削減政策は、バブル期の国の無策と、選挙対策
で国民におもねったツケが、今、重くのしかかっている結果です。
主治医さんと患者さんとの治療をめぐる大切な関係とは、かけ離れ
たところで、大きな流れに翻弄される医療現場って、両方にとって
つらいものだなあ、と思います。
2008/12/02(Tue) 23:05 | URL  | カノン #-[ 編集]
医療費削減政策
カノンさん

>のっぽ先生にとって、本当に過酷な一年でしたね。

そうでした。ほんと、堪えました。

>衝撃を受けると、自分を守るために、ショックな事を忘れてしまうという、人間の不可思議を思うとともに、それほどまでの経験を、して しまわれたことに、心が痛みます。

僕は、強いショックを受けると、その前後の記憶が飛ぶようです。とにかく、今年の3月、4月は、強いショックの連続でした。

>大丈夫!復帰なさっても、今ののっぽ先生は、これまで通り、「良い医者」であり続けられることでしょう。

有難うございます!
出来れば、「良い医者」であり続けたい、そう思っています。

>でも、結局、大学病院に見放されたようになってしまい、免疫療法を薦めてくれた方の身内のドクターが、赤十字病院への転院を 取り計らってくれました。

大学病院は、2つ3つ位しか事情は分からないのですが、勤務している医者にとっても、融通のきかない組織でした。
一方、赤十字病院は、自分が勤めたところしか事情は分からないのですが、いいところでした。
詳細は分からないので、自信を持ってコメントすることは出来ないのですが、転院は良い判断だったと思います。

>上手に話すことと、上手に黙っていること、簡単にやり直しがきかない場面で、コミュニケーション・スキルが試されることの重さを感じます。

患者になってみて、改めて、医者(医療者)とコミュニケーションを図るのがいかに難しいかを感じます。

>主治医さんと患者さんとの治療をめぐる大切な関係とは、かけ離れたところで、大きな流れに翻弄される医療現場って、両方にとってつらいものだなあ、と思います。

非常に的を得た指摘だと思います。
医者をしている頃から、国が進める医療費削減政策は、僕ら(医者)の足を引っ張っていました。
患者になってからも、国が進める医療費削減政策は、金銭面(医療費の支払い)とアクセス(主治医ときちんと話し合う時間が十分とれない)、クオリティ(主治医と十分、話が出来ないと、受ける医療の質は落ちる)の3点から、僕ら(患者)に負担、不利益をもたらしています。
国が進める医療費削減政策は、医者(医療者)、患者の双方に負担、不幸をもたらしていると思います。
2008/12/03(Wed) 13:16 | URL  | のっぽ187 #-[ 編集]
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