癌との共存を目指しています。
がん患者のあきらめない診察室 http://2nd-opinion.jp/index2.htm というサイトを運営されている今村貴樹先生が10月25日(日)に大阪市内で「標準治療からオーダーメイド型治療へ」という題名で講演をされた。日曜日は仕事が休みなので、講演を聴いて来た。印象に残ったところをいくつか書く。

「<乳癌の情報>に、ゼローダに耐性化してもTS-1が奏功する可能性がある。(2009年ASCO No.1103)」とのことである。大腸癌でも、そうなのだろうか。今村先生に訊くのを忘れてしまった。

<来年度中に認可が期待できる分子標的薬10>にBrivanib(大腸癌に有効)、Indisulan(E7070)(消化器癌などに有効)が挙がっていた。

「p53抗体陽性例では、5-FU、シスプラチンをはじめとするアポトーシス誘導型抗癌薬などに対する感受性が低いことも分かっている。」とある。血液検査でp53抗体が陽性かどうか調べて、陽性なら、5-FUは、あまり効かない、ということになる。気が向いた時に、また調べてみよう。

などなど、色々学ぶところが多かった。(役に立つことは、この他にも沢山あったのだが、少し眠くなって来た。)
いろいろな世代の方がいたこと、40歳代くらいの夫婦が何組かいたことが印象的だった。あと、患者としては、僕が一番、若いようだった。

現行のシステムでは、患者が、ある程度、知識を持って臨んだ方が、いい医療を受けられる可能性が高いようなので、こうやって、時々勉強しないといけないな、と思った。

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【2009/10/29 00:36】 | 自分の体
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あんず
友人でゼローダが効かず、TS-1に移行した女性がいます。肝臓、肺、骨に転移しているので、なんとかTS-1が効いてくれるよう、祈っている段階です。あとはアバスチンが乳がんにも認可されることを待っていますが、副作用も激しいのですよね。まだ30代前半で体力もあるし、全然あきらめてはいないけれど、使える薬がどんどん無くなってくると、どうしても代替療法に興味を持ってしまうようです。

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講演の感想
のっぽ187
あんずさん

アバスチンは、血栓が生じるのが問題であるようです。ただ、「高齢の患者で最も多く見られます」http://www.cancerit.jp/fdadrug-avastin.htmlとあり、30歳代前半なら、その危険性は、それ程、高くないのかも知れません。

この講演を聴いていて、「乳癌の治療は、進歩が速い。」と思いました。乳がんと言っても、千差万別だと思いますが、他の癌に比べると、アプローチは多いと思います。

僕が、代替療法に関心がないのは、一応、医学教育を受け、医師として診療を続けているから、かも知れません。もちろん、それが良いか悪いかは別問題ですが。

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僕の外来に来られる方には、大きく分けると二つのパターンがある。一つは、本人の病状は、そこそこ(中等症)なのだが、配偶者(特にご主人さん)が大変、しっかりしているので、通院を続けられているケース。もう一つは、一人でいらっしゃるケース。
前者は、中高年(40歳代から70歳代前半)の女性の患者さん、後者は、20歳代から50歳前半で性別の比率は男性と女性は半分半分くらい。後者については、20歳代、30歳代は女性の方が多く、男性は40歳代、50歳代が多い。(40歳代、50歳代の男性は土曜日に診ている。)

以上から明らかなように、女性の患者さんの比率が高い。7,8割が女性である。一つは、僕が再診の方を原則、平日に診ているからだろう。

自分が一人で病院に通っていることもあり、僕は一人で来る患者さんが好きなのだが、家族が連れて来ているケースは、きちんと説明せざるを得ず、結果、よりきちんとした診療となる。(どの患者さんにも、きちんと説明するべきなのだが、そんなことをしていると、仕事が終わらないので、手を抜けるところでは抜かないといけない。厚生労働省には、この事態の早期の改善を望む。)

配偶者(ご主人さん)が本人を連れて来ているケースは、連れて来ているご主人さんが「旦那」という感じの方が多い。平日に奥さんを、多くの場合、車で連れて来ているのだから、その時点で、「旦那」なんだろう。

一方、一人で来られる方は、自転車で来ている方、電車とバスを乗り継いで来られる方と様々である。自分の意思で来ていることが何となく、こちらにも伝わって来て、好感が持てる。

毎日新聞http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091020-00000047-mai-sociより抜粋する。

<貧困率>日本15.7% 先進国で際立つ高水準

長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータでは、日本は加盟30カ国中4番目に悪い27位の14.9%で状況は悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。

 相対的貧困率は、国民の所得分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合。今回はOECDの算出方法を踏襲した。06年の子供(17歳以下)の相対的貧困率も14.2%で、03年のOECDデータの13.7%(30カ国中19位)より悪化している。

 03年OECDデータで貧困率が最も高いのは、メキシコの18.4%で、トルコ17.5%、米国17.1%と続く。最も低いのはデンマークとスウェーデンの5.3%。(抜粋終わり)

10数年振りに地元(自分が育ったところ)に戻って来て、「貧しい人の比率が増えたのではないか。」と思っていたのだが、上記の結果は、それを支持している。03年より06年、06年より09年の方が事態が悪化しているだろうから、現在は、もっと悪い状況だろう。

精神科医療と貧困の問題は密接な関係があるので、いつも気に掛かるところではあるが、僕が外来で診ている方は、「平日の昼間に病院に通える(豊かな)方」なのかも知れない。

新しい抗うつ薬(ミルタザピン)が当院で使えるようになったのは、とても喜ばしいことだが、それ以上に多くの方が、その恩恵を受けられることを願ってやまない。(今の医師数で、多くの方が外来に来られたら、それはそれで困るのだが。)

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【2009/10/21 01:12】 | 思ったこと
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必要なのは教育です
暇人
貧困は、自民党と教育官僚によって作られました。
自殺も生活困窮も国家衰退も、デタラメな教育政策から生まれています。受験競争で時代遅れの知識を詰め込まされ、世界最低の大学に進学すれば、生活に困窮し自殺者が出るのは当然です。
「おバカ教育の構造」を読んでご覧なさい。
だから、日本各地から、市民による教育革命運動が始まろうとしています。
それが、生き延びるために必要であるからです。


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問題のありかは明確ですが。
のっぽ187
暇人さん

教育に大きな問題があることは、僕も同意見です。選挙で国会議員を選ぶ、本当の意味を知ったのは、僕も30を過ぎてからでした。

とは言え、教育する内容を変えるのは、いろいろと抵抗がありそうです。古文や漢文を教えるのを止めるとすれば、古文や漢文を教えている先生の仕事を奪ってしまうことになる訳ですから。(古文や漢文の先生の既得権益を奪ってしまう。)

問題のありかは明確ですが、対策は難しいと思います。

きっと何とかなるでしょう。
のっぽ187
2番目にコメントをされた方へ

そこそこ、忙しく過ごしています。

新型インフルエンザウィルスへの対応は、多くの医療機関にとって負担が大きいものとなっているようですね。

精神科は一人ひとりの診察時間が長くなりがちで、なかなか手を抜きにくいです。需要も増える一方なのですが、少なくとも今、勤めている病院は医師数の減少が見込まれています。(辞める先生が何人かいます。)

どうなるのか予想はつかないのですが、その場その場でベストを尽くしたいな、と思っています。

撲滅!貧困ビジネス
カノン
最近は別の意味で、医療と貧困の問題は、深刻ですね。
奈良の山本病院の貧困ビジネスも、相当あくどいです。高齢ですと、生保の患者さんは、身寄りがいないことも多いですし、どんな高額の治療をしても、国が支払う限りにおいては、回収できないことがないですものね。
のっぽ先生も、ブログには書けないようなことを、見聞きしていらっしゃるであろうと(今の病院のことではなく)心配です。

貧困を精神科医療の分野で捉える以外にも、いろいろな角度から、貧困について考えることが、のっぽ先生のライフワークの1つだ、と思います。
ともすれば、高所得者である医師が、低所得者について語ると、反発を招くこともあるかもしれません。
しかし、のっぽ先生の場合、決して他人事ではなく、ある切迫感を覚えていらした時期が確かにあって(食べられなくなる不安を書いていらっしゃいました)、現在もある種の危機感を抱いていらして、その切実な想いが、思考の根底に流れているのかなあ、と思います。

本旨とずれますが、旦那さんに連れてこられる奥さんって、どうなんでしょう。場合によっては、それが原因ということはないのでしょうか。
何かで、うつの背景には怒りがある、と読んだことがあります。本来、相手に向けるべき怒りが、自分に向いてしまってうつになる、ということだったかと思います。夫に対する怒りを、抑圧してしまったことで、妻がうつになっているとしますと、その相手に保護されているというのは、一層無力感を深めるような気がします。
完全に想像の世界というか、妄想の世界で、申し訳ありません(笑)。

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身近な問題
のっぽ187
カノンさん

僕は、それ程、裕福でない家庭に育ったので、「貧困」は僕にとって身近なものでした。また、抗癌剤治療を受けている間は、働ける体調になかったので、収入が途絶える恐怖も味わいました。加えて、診ている患者さんに貧困層の方がいるので、今でも「貧困」の問題は、とても身近に感じます。

借金に追われ、海に飛び込んだ方が救助され、救急車で運ばれて来ました。この方に必要なのは、うつ病の診断でも、抗うつ薬の処方でもなくて、生活保護の申請でしょう。(もちろん、抗うつ薬が必要な場合もあるでしょうが。)

統合失調症や躁うつ病の奥さんを看ているご主人さんは、本当に偉いと思います。ただ、4週間に一度、10分か15分、話を聞くだけでは、なかなか深いところまでは分からない、というのが正直なところです。

お返事です。
のっぽ187
4番目にコメントをされた方へ

初めまして。

御家族の方の本当の診断名(アセスメント)が何なのか分からないのですが、躁うつ病と考えて、お返事します。(気分障害というカテゴリーの中に、うつ病や躁うつ病があります。)

僕は、気分障害の方、パニック障害の方には、そうでない方と同様に接するのが良いと考えています。(もちろん、ケースバイケースなのですが、原則は、それで良いと考えています。)

躁うつ病であれば、気分の波を抑える、すなわち、躁病相、うつ病相の出現を抑えることが第一です。気分安定薬(炭酸リチウムなど)をきちんと飲んでもらうことが第一だと思います。

家族の対応については、「こうするのが良い。」といったものはないと思います。

躁うつ病のホームページ http://square.umin.ac.jp/tadafumi/ は、きちんとしたことが書いてあります。作者の加藤忠史先生は、躁うつ病の研究をされている方です。躁うつ病について知るには、このホームページが良いと思います。(他にも、良いサイトは、あると思うのですが、僕は知らないです。)

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同僚の先生から、「救急隊は、トリアージ(選別)をしている。お金持ちは、○○大(学の付属病院)に運ぶ。お金のなさそうな人や生活保護の人は、民医連(共産党系の病院)に運ぶ。」と聞いたことがある。ちなみに、トリアージという言葉は、フランス語で選別という意味で、大災害によって多数の被災者が発生した際に、どの負傷者から治療するか、どの患者を救急搬送するかといった優先順位を決めることを意味する。ここでの「トリアージ」は、もちろん冗談である。

大学病院で2年近く働いたが、キャリアの多くは、収入が少ないと思われる人や生活保護の人が運ばれて来る病院で働いた。働く側としては、圧倒的に後者(収入が少ないと思われる人や生活保護の人が運ばれて来る病院)の方が働きやすい。そして、お給料も、圧倒的に後者の方が良い。「医療の質は?」と言うと、これは自分が勤めた範囲でしか分からないが、同等か、むしろ後者の方が良いくらいだ。少なくとも、自分なら後者の病院を受診する。

市場経済の考え方では、とうてい理解の出来ないことだが、そういったことが現実には起きている。なお、僕の家族も、僕が居なければ、大学病院派だっただろう。小学校3年生の時、鼠径ヘルニアの手術を受けたが、これは実家の近くの○○大学付属病院だった。

働きやすさ、お給料の多い少ない、については、異論がないと思うが、医療の質については異論のあるところだろう。ただ、働いている医者が気持ち良く働けないような職場で質の高いサービスを患者さんに提供できるのか、と考えると、答えは明らかだと思う。もちろん、高度な医療(移植手術とか)は大学病院でしか出来ないことが多いので、そういった医療が必要な人には大学病院は必須の存在だろう。

今日は午後から外来で、何人か「収入が少ないと思われる人や生活保護」に属する人を診た。僕は分け隔てなく人に接するのが好きだ。(性格の好き嫌いはある。)仕事が終わって、ふと「トリアージ」のことが頭に浮かんだので、文章にしてみた。

<お断り>
上記は、僕の限られた経験に基づくものです。また、地域、病院によっては、そうでないところもあるか、と思います。

<追記>
後で、読み直してみました。「貧乏人」という言葉は良くないと思いました。「貧乏人」と書いたところを別な表現に直しました。また、「生保」と書いたところを「生活保護」と書き直しました。「生保」という言葉に差別的な響きがあると思ったので、そう書き直しました。(平成22年3月19日)

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【2009/10/14 02:17】 | 仕事
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勤務先の病院と自宅との往復を続ける日々である。患者さんを診るより、家族と話をしたり、診断書などを書いている時間の方が長い気がするが、きっと、そういう仕事なのだろう。手術を受けてから、持久力が落ちた気がするが、自分のペースで、こつこつと、こなして行きたいと思う。

多くの人が、質の高い医療を受けられることを願ってやまない。一個人の頑張りでは、到底、解決が出来ない問題であると思われる。制度面での改善が望まれる。

医者を急に増やすことは出来ないだろうから(10年は、かかるでしょう)、もう少し、書く書類を減らして欲しいな。

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【2009/10/13 05:35】 | 仕事
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最近は、youtubeで好きなアーチストの動画を見ながら、曲を聴いていることが多い。とは言え、ここ数年の曲は全く分からないので、10歳代、20歳代によく聴いていた曲に限局されてしまう。ZARDの曲は、大学時代、何十回と聴いていたのだが、この数日、ふと懐かしくなって、youtubeで聴いている。

当時は、早く医者になって、お金に困らないようになりたいな、そして、素敵な彼女が欲しいな、と思っていたのだが、十数年で状況は一変した。あまり物欲がないこともあり、医者になってからは、お金に困ることはなくなった。素敵な女性とも付き合うことが出来た。

しかし、昨年、直腸癌が見つかり、手術、抗癌剤治療を受けた。幸い今は、元気に仕事が出来ている。全く心配事が無いわけではないが、今は結構、幸せである。19歳や20歳の頃と違い、夢と希望に満ち溢れ、という訳ではないが、何となく満たされている感じがする。

僕がなりたいものになり(医者になって、お金に困らないようになることは目指していたが、精神科医は眼中になかった)、望みがかなったから、そう感じるのではなく、周りの人達との関係が良好である(と感じる)から、満たされていると感じるのではないか、と思う。

安心をもたらすためには、ある程度のお金もしくは収入は必要だと思う。素敵なパートナーの存在は、日々の暮らしを豊かにしてくれる。しかし、人は社会的な存在であり、自分が属する社会で必要とされたり、周りの人達から大事にされたりすることが、満たされたと感じるには必要なのではないか、と思った。

十数年の月日と健康を損なうことを要したが、10歳代からの疑問に最近、答えられつつある。有難いことだ。

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【2009/10/05 01:52】 | 思ったこと
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のらくろ0521
「足るを知る」
この言葉を知ってから 自分は少しだけ
変わった気がします。

そして、のっぽ先生の、こうした言葉からも
とても大きな影響を受けさせてもらっています。

ありがとうございます

温かな信頼関係
カノン
あくせく歩いている時、ふと足を止めて、自分の人生を振り返るきっかけを、さりげなく与えてくれるような、素敵なエントリーです。
秋の夜長に、しみじみしてしまいました。

いつもこんなこと言っていますが(笑)、のっぽ先生は、随筆の名手になる才能がある、と思います。

「今は結構、幸せである。」「何となく満たされている感じがする。」
そう思えることって、本当にすごいことです。現時点では、私はのっぽ先生より健康に恵まれていると思いますが、主観的幸福感を比べると、のっぽ先生のほうが、はるかにポイントが高いです。

「個を生きる」ことと、「他者と生きる」ことのバランスが大事だ、と最近よく感じます。独りでいる時間も貴重で楽しいし、周りの人たちとも温かく信頼できる関係を築いているというのは、心の在り方として、最高なのではないでしょうか。

上司や同僚の先生、看護師さんや事務員さん、患者さんに必要とされて、大事に思われていらっしゃるのは、のっぽ先生も周りの方々の幸せについて、考えていらっしゃるからでしょうね。

足るを知る。
のっぽ187
のらくろ0521さん

「足るを知る」 ことは、より良く生きて行くための要諦であると、僕も考えています。

僕自身、まだまだ学び行く過程にあると考えています。ともに成長して行けたらいいですよね。

周りの人の幸せ
のっぽ187
カノンさん

いつも過分なお褒めを頂き、とても嬉しく思っています。

文章を書くことは好きなのですが、しばらくは仕事(診療)を主にしたいな、と考えています。

>のっぽ先生も周りの方々の幸せについて、考えていらっしゃるからでしょうね。

癌になってから、患者さんの幸せについて、明確に考えることが増えたと思います。その分、患者さんの家族に対しては、複雑な思いを抱くことは増えましたが。

一緒に働いているスタッフ(看護師さん、事務の方)に対して、なるべく横柄にならないように心掛けているのが、今のところ、いい結果に結びついているようです。
ふと思ったのですが、スタッフ間で、「幸せ」について話をすることって、意外と無いな、と思いました。

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